第7章基礎プラクティス

  • 全員同席

コンカレントエンジニアリング、CFT(クロスファンクショナルチーム)などの実現のための『大部屋』が相応するだろう。
開発に関わる全員が同じ場所に集まり、コミュニケーションエラーの防止や早期のフィードバックによる待ち時間の短縮を狙う。また、それにとどまらず積極的に創発の機会を生み出しより多くの顧客価値創造の機会とする。

『大部屋化』という言葉も使用される。分断されたチームを物理的に大部屋に置き、大部屋/全員同席の効果を狙うのだ。

さらに『脳の大部屋化』という言葉を使用された場面もある。壁に書かれた、貼られたあるいは投影された情報(マインドマップやKPT)を皆で共有し、全員でフィードバックを繰り返しながら全員で思考する場面である。個人の頭蓋の中という個室ではなく、全員の脳内情報が目の前に示され共有されいることで、思考や情報も大部屋化するという比喩である。

  • チーム全体
    • 一員である。
    • 共に取り組んでいる
    • 互いの作業、成長、学習をサポートする。

チームの存在は、『顧客価値の継続的創造のため』と『組織と人材の成長のため』の2つだろう。そのためにチームを存在する。
目的と目標を共有し、同じ価値観や原則のもとで活動することでチームは成立する。それは開発チームだけにとどまらない。
製造現場におけるカイゼンの小集団活動もこのプラクティスのひとつと言えるだろう。
生産ラインで働く作業者にとってもチームは必要なのだ。単に与えられた作業を淡々と数十秒サイクルでこなしているように見える作業者にもチームは必要。一員であり、共に取り組み、互いの作業、成長、学習をサポートする。

  • 情報豊富な作業空間

見える化。目で見る管理。目で見える管理。VisibleManagement。

目で見える進捗管理を実行し、遅れ進みを共有し問題に対応することも重要。
しかし進行管理、異常管理を実行し、問題発生前の異常に対応することも重要。そして異常を積極的に見える化カイゼンのチャンスを得ることが、人とチームの成長に重要なことなのだ。そしてそれが継続的な顧客価値の提供につながる。

    • だれが見るためのものか。

見える化はチームのため、チームが自分たちのつくり出す価値やそれを生み出すプロセスにフィードバックするためのもの。決して特定の管理者・監督者・監視者のためのものではない。チーム自身による自律管理を実現するためのものなのだ。

    • そもそもは見せる化と呼んでいたらしい。

特定の管理者のために。しかし、どうせやるなら自分たちのためになるものにしたいとの思いが、見える化に進化したのだ。

  • 活気のある仕事

継続的に顧客価値を提供するためには、企業自体が継続して存在しなければならない。そして、そのためには、人が継続的に価値を生み出し続けそして成長し続けなければならない。

勤務時間内にインクリメンタルな改善を行うことができる。作業時間は変えずに、その時間を適切に管理する必要がある。毎日2時間をコードの時間にあてると宣言する。電話や電子メール通知を切り、その2時間はプログラムだけを行う。これは、現時点では十分な改善であり、後で作業時間を減らすための準備にもなるだろう。

ストア管理で実現しやすいプラクティスであろう。

個人を尊重し、ペア、複数人、チームで最大の価値を生み出すため。決してプログラミングに限らない。冗長すぎる会議や必要のないスキルのためのセミナーではない、成長の機会。